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無手の法悦

友人から勧められ「無手の法悦(むてのしあわせ)」という本を読みました。

明治時代末期、おそらくまだ丁稚奉公の制度があった頃、踊りの師匠の養女となった著者は、養父のもとで修行中に起きた事件で、両腕を失いました。

犯人は養父でした。

養父の二番目の妻が、別の人と駆け落ちのような疾走をして、養父の激情が高まった末、同居していた妻の親兄弟と養女たち計6人を、武士の家系だった養父が刀で次々惨殺するという事件でした。

踊り子を目指していた著者は、死んだふりをすることでとどめをさされることを逃れました。

著者の際立った特徴は、自分の両腕を落とした養父について、恨み辛みの念をまったく持たなかった点です。腕をなくした悲しみや、生活の不便や将来の行く末を案じる気持ちはあっても、養父の刑を軽くするためなら証言台に立つというほどでした。

当時は女に教育はいらないという意見もあった時代ですので、そのような考え方は無学ゆえの従順さによる部分もあったかもしれないのですが、その心持ちはおそらく著者本人を救う結果につながったように思います。

著者は、しばらくの間は、見世物小屋を回っていました。

仙台巡業の宿でカナリヤをみたときに「小鳥はすべて口でやっている」と気づき、自分も口で字を書こうと思い立ちました。

巡業に同行していた実父に買ってきてもらった筆を口にくわえて、紙に字を書こうとしたとき、字を知らないことに気づき、著者は事件以来初めて涙します。

小学校に入学したいと校長に頼みこんでみたものの、巡業中で通うことはできず、一時的なボランティア先生や、宿の経営者の子どもに教わりながら字を覚えました。聖書や広辞苑をプレゼントしてくれた人もいました。

さまざまな経緯を経て、著者は最終的に尼僧になります。

実兄がホルマリン漬けにして保存した腕は、高野山に奉納され腕塚となりました。

この本で私が最も印象的に感じたのは、著者を導くスピリチュアルな感覚や現象から思うことです。

この本に書かれているスピリチュアルな感覚や現象とは•••

事件に遭う直前、それを避けようとする方向の選択肢があらわれたこと。

事件が起きたときに、実兄宅に置いてあった三味線の皮が両面とも切れたこと(相似形の共時性)。

事件のさなか著者は現在起きていることやこの後起きることを直感的に理解できる状態になっていたこと。

救おうとするエネルギーがあらわれること(危機的状況では別次元のサポートが際立つことがあり、それは内的感覚では明確に感じられる)。

などです。

そこから思うあれこれのこととは•••

人間は、無事に生きたいと願う肉体を持つ存在であるため、このような事件や事故の前には、本人にとっても不思議と思えるような共時性が起きることがよくあります。

二つの方向に分かれる分岐点の先にはそれぞれの経験や学びがあります。

ふと思うのは「もし自分が霊能者や占い師で、事件前にアドバイスをする立場にあったなら、事件を避ける方向のアドバイスをするのかどうか」という点です。

もしも人間の幸せが、「肉体が長期的に安定していること(ごく普通の「幸せ」という概念の一部)」とするならば、不幸としかいえない事件です。

苦労して、たくさんの努力とたくさんの人や霊の導きを受けて、「腕を失うことで本物の腕や手を得た」と実感し「法悦(しあわせ)」を感じられる過程があるなら、事件に巻き込まれなかったから運が良かったとか、事件に巻き込まれたのは本人のネガティブカルマとか簡単にはいえるものではありません。

事件にまきこまれるか否か、ふたつの人生に分かれる分岐点で共時性が拮抗するような動きをするとき、霊能者や占い師は、自分自身の価値観を入れずどのように伝えるのでしょうか。

また、肉体の腕をなくして本物の腕を得たと著者が実感したように、腕や手に象徴されている「質」や「はたらき」があるわけです。

私たち人間は、3次元という物理的な次元で、肉体や物質が象徴的にシンボルする「質」や「はたらき」について学び、その資質を自分自身の精神性として獲得していく過程にいるのかもしれない、とも思います。

もしも人間が、より本質的な「質」や「はたらき」を獲得していく学びを運命づけられた存在とするならば、生まれで死ぬまでの過程において、得たものすべてを失っていくことも、哲学的不毛さとしてではなく、成長の過程としてとらえることができます。また物質世界に興味のない、スピリチュアルすぎる人は、もう少し物質に興味を持つべきだといえるかもしれません。

あれこれ奥深く考えさせられる本でした。

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Author:ユーリ
新宿区中落合でヒプノセラピーをしています。

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